月13日に放送された「チコちゃんに叱られる！」（NHK総合）は、日常のなぜ？に迫る興味深い内容で、視聴者を楽しませてくれました。今回の放送では、私たちが普段何気なくやってしまう「パン屋でトングをカチカチさせる」行動の理由や、敬老の日の意外な起源、さらに、伊豆半島が静岡県に属している一方で、伊豆諸島はなぜ東京都に属しているのかという地理的な疑問が取り上げられました。それぞれのテーマを掘り下げ、解説していきます。
なぜパン屋さんでトングをカチカチさせてしまうのか？
最初のテーマは、「パン屋さんでトングをカチカチさせる理由」についてです。この現象は、パン屋に行くと多くの人が無意識にやってしまう行動ですが、なぜトングをカチカチさせるのでしょうか？
番組では、世田谷区のパン屋さんに協力を得て、トングを使うお客さんの行動を観察しました。街頭インタビューでは、「これからパンを取るという心の準備」や「遊び半分でやっている」という声が上がっていましたが、実際の理由はもっと深いものでした。答えは「脳のガス抜きをしたいから」なのです。
トングをカチカチさせるのはストレス解消の一環
私たちが考え事をしすぎると、脳は情報を処理しきれなくなり、思考が詰まることがあります。この状態では、無意識に情報を整理しようとするために、簡単な動作を繰り返すことが多いのです。トングをカチカチさせる行動もその一つで、余計な情報を整理して、効率的に選択をするための手段として機能しているのです。
さらに、番組では、トングをカチカチさせる行動と脳波の変化を調べる実験が行われました。20問の漢字パズルに挑戦する被験者が、トングをカチカチさせる場合と何もしない場合で脳波にどのような違いが出るかを比較したところ、トングをカチカチさせたほうがリラックスした状態に変わることがわかりました。これを「ドゥードリング」と呼び、余計なストレスを発散して集中力を高める効果があるとされています。
実は、トングをカチカチさせない人もいます。彼らは迷わずパンを選べる自信を持っているか、選択にストレスを感じないタイプの人なのかもしれません。また、番組では、別のストレス解消法として、おでこをゆっくりトントンと叩く方法が紹介され、これもリラックス効果があることが研究で示されています。
敬老の日の起源は兵庫県！「としよりの日」が始まりだった
次に取り上げられたテーマは、敬老の日の起源についてです。敬老の日は、多くの人が家族と集まってお祝いをする日本の祝日ですが、その起源については意外と知られていないことが多いようです。街の人に質問しても、ほとんどの人が答えを知りませんでした。
実際の起源は、「兵庫県発祥の『としよりの日』」にあります。1947年、兵庫県多可町（旧野間谷村）の村長であった門脇政夫氏が、高齢者を敬うことの大切さを広めるために「敬老会」を開催しました。当時、戦後の混乱期にあった日本では、高齢者が軽んじられる風潮がありましたが、門脇氏は、「誰でもいつかは年を取る。高齢者を大切にすれば、自分もやがて優しくされる」という思いから、この取り組みを始めました。
門脇政夫氏の活動と「敬老の日」の広がり
門脇氏は、「としよりの日」を全国に広めるために積極的に普及活動を行いました。その結果、兵庫県内の多くの市町村が賛同し、1950年には兵庫県が「としよりの日」を正式な祝日として制定しました。その後、1966年には9月15日が全国的に「敬老の日」として国民の祝日となり、現在の形で受け継がれています。
門脇氏の功績は、お年寄りだけでなく、若者とのつながりも大切にしてきた点にもあります。多可町では、現在でも3歳から80歳までの幅広い年齢層が参加するダンスグループが存在し、高齢者のために作られた歌や体操も行われています。敬老の日は単なる祝日ではなく、世代を超えた交流の場としても重要な役割を果たしているのです。
なぜ伊豆半島は静岡県なのに、伊豆諸島は東京都なのか？
最後に紹介されたのは、伊豆半島と伊豆諸島に関する地理的な疑問です。伊豆半島は静岡県に属しているのに対して、伊豆諸島は東京都に属しています。これについても、街の人々は「静岡県が管理しきれず、東京に任せたのではないか」といった意見を述べていましたが、実際の理由は歴史的背景にあります。
伊豆諸島の歴史的背景と東京都とのつながり
伊豆諸島は、9つの有人島と116の無人島や岩礁からなる島々で、最北端の伊豆大島から南に約600kmにわたって広がっています。江戸時代には、伊豆諸島は幕府の直轄地であり、魚や塩を年貢として納めていました。そのため、伊豆諸島と東京（江戸）とのつながりは非常に深いものでした。
明治時代に入り、伊豆諸島は一度静岡県に属することになりましたが、東京との結びつきが強い住民にとっては不便なことが多く、行政手続きでも問題が発生しました。船で東京に行ってから静岡に向かうという手間がかかるため、住民たちは東京に戻ることを望むようになりました。
この問題を解決するために、大久保利通が三条実美に上申書を送り、結果的に伊豆諸島は東京府に戻ることになりました。その後も、太平洋戦争後には伊豆諸島が一時的に日本から分離され、独立国を目指す動きがありましたが、最終的には1946年にGHQ（連合国軍最高司令官総司令部）によって日本に復帰することが決定されました。
伊豆諸島の独立運動
戦後、伊豆諸島では一時的に日本からの独立が検討され、1946年には大島暫定憲法が作成されました。この憲法には「大島の統治権は島民にある」と明記されていましたが、磯村英一が中心となって日本への復帰を求める運動が行われました。最終的には、磯村氏の努力により、GHQが伊豆諸島を日本に復帰させることを決定し、島民たちは日本に戻ることができました。
まとめ｜日常の疑問に潜む歴史的背景を知る楽しさ
今回の「チコちゃんに叱られる！」では、日常の何気ない行動や祝日、地理的な疑問に対する歴史的背景が明らかになりました。トングをカチカチさせる行動の裏には脳のストレス解消が関係していたり、敬老の日が兵庫県で生まれた「としよりの日」に由来していたり、伊豆諸島が東京都に属するのは江戸時代からの歴史的つながりがあったりと、私たちの生活や習慣には多くの歴史的な要因が隠されていることを感じました。
次回もまた、思わず「そうだったのか！」と驚かされるようなテーマが取り上げられることを期待しましょう。番組を見逃さ
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